季節の染帯【糸瓜】
ヘチマ水は「美人水」(美顔化粧水)として重宝され、江戸時代の女性たちの“素肌美”を助けてきました。
またヘチマ水少量を口に含んでうがいをすると咳止めにもなりました。正岡子規の絶句三筆「糸瓜咲いて 痰のつまりし 仏かな」「痰一斗 糸瓜の水も 間に合わず」「をととひの 糸瓜の水も 取らざりき」。病床の子規は、窓の外に実った糸瓜の実を見ながら死期を悟ったのでしょう。
- 詳細
- 夏から秋にかけて黄色の花と実をつける糸瓜。縦長で膨らみのある実には縦に浅いミゾがあり、その特徴を表しています。ざっくりとした夏紬の生地に秋を感じる茶の地色。晩夏から初秋にかけて装う染帯に仕上げしました。江戸琳派絵師 鈴木其一の「糸瓜に朝顔図」に倣い花を白にし、実のミゾは目立ち過ぎないようグレーの色糸目で表現し、糸目の葉脈が際立つように葉脈に沿ってぼかし入れました。
*八重山上布とコーディネート - 地色: 雀茶色
素材: 夏変わり織紬
季節: 晩夏～初秋
≪きものSalon掲載≫
