季節の染帯【竹に雪】
成長は勢いよく、しかし竹稈は空洞でしなやか。空洞には“神が宿る”と伝承があり、その神秘性は『竹取物語』を生み出しました。また伝統的な日本家屋には日本の気候に適した働きをもつ竹がいたる所に使われていましたし、竹はごく身近にあって軽くて加工性の高い素材として、日用品から玩具・茶道・華道の花生けや道具・笛や尺八などの楽器・竹刀や弓などの武道具など、日本人の生活に根差し日本文化を育んできました。
- 詳細
- 江戸後期の琳派絵師 鈴木其一の『朝顔図屏風』を目にした時から、その近代に通じる洗練された装飾性に魅了されました。それから其一の絵画が参考本になりました。『雪中竹雀図』は、降り積もった雪で大きくしなった竹から雪がドサッと落ちる様を切り取っていて、雪国育ちの私には惹かれる絵画です。この雪の表現が“雪の染帯”を創るきっかけになり、雪の降りようさまざまに【雪椿】･【寒牡丹】などを制作しました。
- 地色: 老竹色
素材: 真綿紬
季節: 冬
